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zoom RSS Made wing 5 前哨戦と好敵手

<<   作成日時 : 2008/12/13 20:37   >>

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<寮食堂>

「ミスター桜咲コンテストー?!」
「あ、朔。お前大概、話聞いてないのな。」
夕食を食べながら、2寮生の話題が次のイベントの話になった。
「この前教えたのに!」と、京悟に責められている朔。
「毎年、生徒の人気ランキングが発表されて、上位10名でコンテストをやるんだよ。」
「ランキングねー。」
今晩の人気はA定食のうな重。朔はうなぎが苦手なので今晩はカレーライスだ。付け合わせが選び放題の取り放題なところが、朔のお気に入りだった。
らっきょうをバリバリとかじりながら、みんなの話を聞いている。
「ちなみに、現在の1位は佐野。2位が3寮の姫島先輩。3位が難波先輩だよ。」
「どこ情報?」
「桜咲学園専属にして、販売してる全てのブロマイドを撮ってる、カメラマンの原秋葉さん情報だよ。」
自信満々に答える京悟。
「へー。俺がランクインしたら、教えてな、京悟!」
「///朔は、今赤丸急上昇だよ!」
「三浦は、可愛いって言うより、格好いいもんね。僕の難波先輩と良い勝負だよ。」
赤面する京悟を余所に、南の腕に絡み付きながら千里が割って入る。
「嬉しいねー、可愛い中央に言われると。俺、ますます頑張って人気上げないとっ。」
ニッコリと笑顔で、また漬け物をかじる朔。
「それで、ウチの寮で看板を作る事になったんだっけ?な、関目。」
千里の身体を腕から剥がしながら、南は京悟に話を振った。
「はい。去年の看板が残ってるはずなので、参考にしようと思うんですけど。」
「ああ、確か地下倉庫にあったなー。」
「じゃあ、中津、後で取って来てよ。」
「は?!なんで?ニャロメが行けよー。」
「関目だから...。って事で、俺暗いとこ苦手だから。」
と、隣に座る嵯峨和真にパス。
「俺、方向音痴だから。」
「お、俺、運動音痴。」
「俺、音痴〜。」
「僕、うんち。」
満面の笑みで答えた千里は、目の前に座る秀一にパス。
「あ?!」
秀一に睨み返されて、千里はビクリとしてから朔へパス。
「ってか、うんちとか言うかーっ?!俺、カレー食ってんですけどぉー!?」
朔に笑顔で凄まれた千里は、再びビクリとして瑞稀へパス。
「お、俺?!倉庫の場所なんて知らねーし。」
「自分で探せよー。なんなら、帰って来なくてもいいし。」
瑞稀を勝手にライバル視する千里は、挑発するように言い放つ。
「よーし!俺が一緒に行ってやろうー。」
瑞稀も負けずに睨み返していると、離れたテーブルから声がして、みんなが一斉に振り向く。
「「「ええぇぇぇーっ?!」」」
名乗り出たのは、立ち上がって手を挙げる泉だった。意外なその行動に、寮生誰もが声を上げた。
「あしゃぁー、行くぞぉー。」
「お、おう...。」
泉の先導で、2人は食堂から出て行った。
「だ、大丈夫かよ?なんか、泉、変じゃなかったか??」
「「「だよなー。」」」
朔の意見に賛同する寮生達。
「あーっ!」
声を上げたのは南だった。
「あいつ、奈良漬け食ってんじゃん。」
「「「えええっっっ!」」」
「何なに???」
みんなの驚きに、訳の解らない朔。
「佐野、あいつ酔ってる。ほら、芦屋助けに行くぞ!」
南に腕を引かれ、朔はとりあえず付いて行く。


と、そこには、泉にキスされて固まる瑞稀の姿があった。
「ありゃりゃ。」
呆れる朔とは対照的に、瑞稀をからかって騒ぐ寮生達。
南と秀一で、泉を抱えて部屋へと運ぶ。
「こいつさ、酒にすっげー弱くて。奈良漬けって、少しだけ酒入ってんじゃん?あれだけで、新橋のサラリーマン並みに酔っぱらっちゃうんだよねー。」
ベッドで気持ち良さそうに眠る泉を見下ろしながら、南が説明する。
「奈良漬けで?!よ、弱ぇー!!」
吹き出しそうな朔に、秀一が追い打ちをかける。
「おまけに、キス魔になっちゃうんですねー、誰彼構わず。」
咄嗟に口元を手で隠し、真っ赤になる瑞稀。寮生の殆どがその被害者である事を聞いて、今度は顔を真っ青にしている。
「ファーストキスだったのに......。」
あまりに小さいその声は、朔にだけ聞こえていた。
(瑞稀...??)



翌日。
「失礼しまーす...けど、入っていいですかぁ?」
保健室の前。朔はノックをして返事を待った。
「どうぞ。」
「ちぃーす。」
中に入ると、北斗と一緒に秋葉の姿がある。
「おっ!ブロマイド売上ランキング、現在1位の三浦くん!毎度っ!」
そう言って、シャッターを切る。
咄嗟にキメポーズで笑顔を作る朔。
「秋葉さん、こんちは!今日もイキイキしてて、キレイですねー。」
笑顔をそのままに、朔はベッドに腰を下ろした。
「さりげない一言が、三浦くんの人気の秘密だね!うん///。」
「お前はとっとと帰れ!」
除菌アルコールを振りまきながら、北斗は秋葉を扉へと追いやる。
「はいはい、じゃあ、佐野くんの事、なんとかしなさいよね、よろしくー。」
そう言い残し、秋葉は保健室を出て行く。
「北斗先生、佐野の事って??」
「その前に、お前。」
座ったままの椅子をベッド近くまで滑らせると、ビシっと人差し指を朔の鼻の頭に向けてくる北斗。
朔は思わずのけぞった。
「マラソン大会の日、話があるから戻って来いって言ったと思うんだが?どうして来なかった。」
ひたすら真っ直ぐな北斗の瞳は、心の中まで見透かされてしまいそうな気がして、朔は以前から苦手だった。
「い、いや、秀一と話が盛り上がっちゃってさー。それで、すっかり忘れちゃって...ごめんなさい!許してよ、せんせっ!」
顔の前に手を合わせ、ウインクしながら謝る朔。北斗が見慣れている朔のキメポーズの一つだ。
「俺に、それは通用しないぞ。...まあ、いい。」
「通用してんじゃんっ!プッ。」
「で、どうだ?調子は。」
編入した日以外で、朔は北斗と殆ど話しをしていなかった。
「んー。まだ日は浅いけど、ダチは沢山出来たかな。みんな良いヤツばっかりだし、楽しいよ。北斗先生には、感謝感謝だね。」
「交遊関係の事は心配してないよ、お前はそういうのは得意だからな。」
朔のいつもの軽いノリをサラリと交わし、北斗は朔を見つめる。
「足の事だ。」
「.........。」
見つめ続ける北斗から、目を反らしたくなるのをこらえ、朔は笑顔を作った。
「嫌だなー、心配し過ぎですよー。全然順調ですからー。」
「......動揺して、女言葉になってるぞ。お前、マラソン大会の時、芦屋を追いかけて走ったんだってな?」
「うっ。」
バツが悪く俯き気味になる朔に、北斗は更に続けた。
「多少はいいかもしれないが、急激な運動や、まして長時間動かし続けるなんてもってのほかだ。リハビリだって、まだ完全には終わってないだろ?」
「続けてるよ、リハビリは。だから、全然平気だって。俺、これでもインターンの卵だぜ?!Please believe me?Dr.Hokuto!」
誤摩化しの通用しない北斗に、朔はただ安心して欲しいと思った。
足をバタバタと動かし、良好である事をアピールする。
「Hey!It sees。」
「そうか、まあ、無理はするなよ。」
「Yes!It consented!」
半ば未練を残しながらも納得してくれた北斗に、朔は満面の笑みを返す。
「で?佐野の話って?」
秋葉の帰りがけの言葉が気になっていた朔。
「ああ。佐野な、退部届けを置いて行ったんだ。」
「えっ......?!」
頭が真っ白になった。
(辞める、のかよ......。)
ついさっき北斗に言われた事も忘れ、朔は走り出していた。



(いねーし...何処だよ。)
考えもなく突っ走った朔だったが、行く宛もなく、気がつくと正門前まで来ていた。
掲示板の前では、生徒たちが人だかりを作っている。
「おっ!朔!いいことに来た!」
「なんだよ、秀一。」
部活を終え、人だかりに紛れていた秀一は、朔を見つけて最前列へと引っ張って行く。
「それより、泉知らね?」
「あ?知らねーな。んなことより、発表があんだよ、ミスコンの!」
「ああ、トップ10のランキングってやつか。」
今まさに、猿渡教頭が掲示板にランキング結果を張り出すところだった。
「俺様は、何位かなぁーっ。」
隣でウキウキの秀一。
張り出された10名には、3寮長達を始め、秀一、泉、千里、瑞稀。
「お、俺も入ってんじゃん。」
「てか、俺を抜いて2位かよっ!やったな!朔。」
「お、おう......。」
「なんだよ、ノリ悪ぃーな。」
「ああ、ちょっとな...。」
泉を探しているのに見つからないことが気がかりで、朔はどうにもスッキリしない。
「よーし!ちょっと付き合えよ。」
「へ?!いや、俺それより......。」
「いいから、いいから。美味いお好み焼き食わせてやるからよ!」
項垂れる朔を引きずるようにして、秀一は歩き出した。



校門を出た2人は、トボトボ歩く瑞稀にはち合わせる。
「瑞稀?!どした?元気ないじゃん。」
自分の事はすっかり忘れて、朔は瑞稀に駆け寄って行く。
「お前だって元気なかった......」
「よし!一緒にお好み焼き食いに行こうぜ!」
秀一の言葉を遮ると、朔は瑞稀の腕を取り歩き出す。
「......って、秀一、店の場所どこだよ?」
「朔、お前なー。」
とぼけた朔と呆れる秀一のやり取りに、沈んでいた瑞稀がクスリと笑うと、それを見て、朔は微笑んだ。
「よし!少しは元気出たか?!やっぱ、飯は明るく食べなきゃ美味く感じないからな!行こう、秀一。」
「///おう。」
朔の優しい笑顔に、秀一も瑞稀も明るい気分になっていった。



「いやー、マジ満足。な!瑞稀。」
「だなー。さすが中津、安くて美味かった。」
お好み焼き屋を出て、3人は寮への道を戻る。
「これで、秀一が財布忘れてなければなー。なあ、瑞稀!」
奢ると言っておきながら、会計の時になって財布が無い事に気づいた秀一。
朔と瑞稀は不満タラタラである。
「悪ぃ。今度借りは返すからさ。」
「ま、許してやるよ、マジで美味いお好み焼きだったからさ。」
「俺、腹いっぱいだー。もう食えないよ。」
中年親父のように腹をさすりながら話す瑞稀。その様子に、朔は話を切り出した。
「で?どうして落ち込んでたんだ?」
「え?」
唐突に問われた瑞稀は、一瞬戸惑いを見せながら「まいったなぁ」と俯いて話出す。
「今朝さ、佐野に聞いてみたんだけどさ。ほ、ほら、昨日の...き、き、き......。」
「?昨日のって??」
どことなく歯切れの悪い瑞稀に、秀一は首を傾げる。
「もしかして、キスの事か?」
朔の言葉に、瑞稀は俯いたままの顔を真っ赤させている。
「ああー、あれな。ウチの寮では、朔以外は全員被害者だもんな。」
「俺はまだ転校して来て日が浅いしな。」
迫られても逃げ切る自信あるけどー。と続けて、秀一の肩に手を置いて笑う朔。
「佐野のヤツ、全然覚えてないんだよ......。そうだよな...。みんなされてるんだもんな...。ハァ。」
ため息を付く瑞稀。誰がいつ被害に遭ったかを思い出しながら、ケラケラ笑っている秀一。その横で、朔は瑞稀を見た。
(瑞稀、もしかして......。)
『憧れのジャンパー』と、泉の事をそう言っていた瑞稀だが、その気持ちは、泉本人に直接関わる事でもっと違うものに変わっているのでは?......朔はそんな事を考えながら歩いていた。
「おい、あれ!」
寮の前まで行くと、ベンチの近くで誰かと話をする泉を見つける。
祐次郎を連れている泉は、どうやら散歩の途中らしい。
「誰だあれ?中津、知ってる?」
(えっ?!アレって......。)
「あれは確か…,佐野と全国競ってた神楽坂真言ってヤツだ。」
「もうちょっと近づけないかな?」
秀一と瑞稀は、植え込みに隠れながらもずんずん近づいて行く。
マズい!と思った朔は遠ざかろうとするが、瑞稀にガッチリ掴まれた腕を、そのまま引っ張られる。
「い、行かない方が、いいんじゃねーの?なんか、ヤバそう。」
小声でそう訴える朔。
「ヤバいなら、尚更!佐野を助けないと!」
逆に闘志を燃やす瑞稀に、朔は苦笑いするしかなかった。

ついには、声が聞こえる場所まで近づく3人。
「筋肉が落ち切った、ダゼー面だな。」
「俺はもう辞めたんだ。」
喧嘩腰に話す真言に、目も合わせず立ち去ろうとする泉。
「だったら次の大会出てから辞めろよ。」
「は?」
「無様なジャンプで観客に笑われてからクタバレって言ってんだよ。」
益々挑発するような口調になる真言。
「ようは恐ぇーんだろ?足が治っても、空いたブランクにびびってバーと向き合う勇気がねー。」
「お前に何が解んだ...」
「何でも解るよ。退部届けを出して勝手にケリ付けた気になったは良いが、何をしていいか解らねー。ホントの自分はこんなんじゃねーとか言い訳しながら公園で黄昏れてる。」
その言葉に、泉が身体を真言へと向き直すと、真言は続けて言い捨てた。
「違うか?」
淀みの無い真言の言葉に、泉は何も言い返せず押し黙っていた。
「おい!!真言っ!!」
思わず飛び出し、真言の胸ぐらを掴む朔。
後ろの方で、呼び止める秀一の声など聞こえていない。
「勝手な解釈してんなよ、真言!お前に何が解る!!」
「「.........。」」
あまりの驚きに、何も発しない泉と真言。
「恐いから何だよ!勇気が何なんだよ!確かにお前の言う通りかもしれねー。お前が正しいかもしれねー!俺だって、退部なんて、良いと思っちゃいねー...。でもなー真言!そんなのお前に言われたくねーんだよっ!!ケガもせず、ひたすら空を目指すお前に!!お前に泉の何が解るっ!知ったような事、偉そうに解説してんじゃねーよっ!!!」
朔はそう言って掴み掛かっていた手を乱暴に放すと、一人走り去ってしまう。
「「「.........。」」」
泉・秀一・瑞稀は固まり、何も言えずにいた。
真言は朔の後ろ姿を見送りながら、その口から小さな声を零す。
「さく、ら??」

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